デトロイト総領事の眼差し
令和8年5月28日
デトロイト総領事の眼差し Vol.22
モビリティの、その先へ ― ウーブン・シティ、TOYOTAの挑戦
モビリティの、その先へ ― ウーブン・シティ、TOYOTAの挑戦
令和8年 (2026年) 5月28日
在デトロイト日本国総領事
雨の日に傘を差して、知らない街を歩く。考えただけでワクワクする。イタリアのスパッカナポリの路地裏を歩き、目に付いたレストランに入ったことがある。メニューは読めない。適当に指さして3皿を選んだ。最初はハム、次もハム、そして最後もハムだった。どうりで注文した時、ウェイトレスがおかしそうに笑ったわけだ。在デトロイト日本国総領事
岸守 一
雨の日に傘を差して、ウーブン・シティの街を歩いた。静岡県三島からバスで40分離れた元TOYOTA東富士工場の跡地に、その街は生まれた。今から約5年前のことだ。ミシガン大学セクストン副学長(総領事の眼差しVol.12)から3月に招待が来るまで、私はその街のことを知らなかった。「とても面白い街です。でも実際に見ないと説明してもわからないと思う。」ワディブカー副社長はそう言って私を強く誘った。そんなわけで私は4月23日、日本に出張してウーブン・シティのVIP公開に立ち会うことになったのだ。
会場に到着して先ず連れて行かれたのはウーブン・シティ豊田大輔社長とウーブン・バイ・トヨタ隈部肇社長との面談だった。二人ともお土産に渡した“I ❤️ Detroit Tシャツ”を着て一緒に写真を撮った。「ウーブン・シティは伝統と創造の掛け算を行う実験都市です。」と、大輔さんは言った。隈部社長は、デトロイトは重要なパートナーと言ってくれた(まだまだデトロイトのイメージは悪いので、単純に嬉しかった)。本年9月には大輔さんの父親でもある豊田章男TOYOTA会長が自動車殿堂入りのためにデトロイトを訪問する。その時にミシガン大学と一緒にウーブン・シティの素晴らしさを発信できないかと考えている。
その後は自動運転や電気自動車と街の双方向の充電、豊田章男会長AIとの対話、豊田織機の機織り体験などを経て、実際に人が住んでいるウーブン・シティを傘を差して歩いた。
「街のテーマは、人と技術(モビリティ)とインフラの三位一体です」案内してくれた伊藤社長室長は言った。「例えばこの電柱が賢くて、死角になっている路地から人が飛び出そうとしているのを察知して自動運転の車に教えてくれるんです。」
AIは苦手な私だが、街の安全に貢献するのなら素晴らしいことだ。
TOYOTAの自動車はRAV4やカムリが米国でも大人気だ。それ以上に、サプライヤーの人気が高い。プランテモラン会計事務所が発行するWRI(Working Relations Index)という部品メーカー700社の人気投票でTOYOTAは10年間トップを維持(第2位はHONDA)。そんなTOYOTAが、モビリティのその先を見据えた街作りを行っている。それがウーブン・シティというわけだ。その魅力を、いつかミシガンで発信していきたいと思っている。