デトロイト総領事の眼差し
令和7年12月5日
デトロイト総領事の眼差し Vol.12
デトロイトだからイノベーション! -自動車を超えて、ものづくりによる連携へ
デトロイトだからイノベーション! -自動車を超えて、ものづくりによる連携へ
令和7年 (2025年) 12月5日
在デトロイト日本国総領事
日本とミシガン州との自動車の次の共通言語は、ものづくりに根ざしたイノベーション。在デトロイト日本国総領事
岸守 一
その宣伝のために考えたのは地元メディアの活用だった。サブはJETROに任せればいい。そんな安心感に基づいた役割分担として、私は信用できるプレスを探し、たどり着いたのがDetroit Free Press紙のキャロル・ケイン論説委員だった。春にダガン市長の朝食会で知り合ってから3度、彼女の住むアナーバーに通い、8月末にMichigan Mattersというテレビ番組のゲストとして招いてくれた。それから更に働きかけを続け、10月7日の乾坤一擲のニューラボでのイベント開催直前の10月5日のDFP紙日曜版で日本特集を組んでくれた。写真はしかしKimono Momにいただいたエプロン姿の料理外交に焦点が当たり、期待したほどイノベーションがクローズアップされなかったが、今もキャロルには日本に来て今の日本を取材してほしいと働きかけを続けている(キャロルはこれまでアジアで中国にしか興味がなかったようだ)。
JETROのサポートのおかげもあり、ニューラボに入居する日本のスタートアップ第1号になったTriOrb社を総領事館として盛り立てるため、“The J4(総領事館、JETRO、商工会、日米協会の4団体連合)”としてお披露目の行事を開催した。場所はもちろんニューラボだ。
絶対成功してほしいTriOrb社を支えるように米国や日系のパネリストを配置した。司会はJETROシカゴの塩野次長が務めてくれた。商工会(JBSD)や日米協会の支援を得て、MEMA(米国自動車工業会)、MichAuto(ミシガン自動車会)、MEDC(ミシガン経済開発公社)、Industry 4.0(ミシガンのスタートアップ支援団体)などの参加、冒頭発言はギルクリスト・ミシガン州副知事に依頼した。基調講演は、「次」を考えて、ミシガン大学イノベーション担当副学長セクストン教授に頼んだ。彼女は、「今夜は50歳になる夫の誕生会があるのに」とぶつくさ言いながらも笑顔で引き受けてくれた。TriOrb社が成功して第2、第3の日本のスタートアップにシリコンバレーでなくニューラボに来てほしい。だがそれは主にJETROの仕事になる。総領事館として、ものづくりを共通言語に固定するため別の提携先を考えていかねばならない。それがミシガン大学というわけだ(来年2月に紹介予定)。
100名以上の多様なステークホルダーが参加して行事は成功した。が、TriOrb社の本当の挑戦はここから始まる(先ずは査証の切り替え→トランプ政権になって新規入国が困難になっている)。そしてこの余波は、日本のある有名なスポーツ・メーカーのミシガン進出に繋がっていくのだが、また別の機会に語ろう。