デトロイト総領事の眼差し

令和7年5月21日
デトロイト総領事の眼差し Vol.5
デトロイトの復活:MIYAVIの「抱擁」を通じて表現する


 
令和7年 (2025年) 5月21日
在デトロイト日本国総領事
岸守 一
 
MIYAVIというロックギタリストを知っていますか?
 
スラップ奏法という独特のギターテクニックを有するテクニシャン。
X JapanのYoshikiと一緒にThe Last Rockstarsというバンドで紅白歌合戦に出た。
漫画Bleachの実写版で朽木白哉を演じていた。
いろんなイメージがあると思いますが、MIYAVIは私にとってUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の同志です。
 
2018年1月、MIYAVIは、アフガン難民女性ラッパーのソニータと共に国連で演奏し、グテーレス国連事務総長を感激させました。しかしその裏で、MIYAVIを国連に招くことに反対する外務省幹部が多くいました。刺青のことだけでなく、昔MIYAVIが出演した映画に問題があり、彼らはそれを忘れていなかった。最後にゴーサインを出したのは当時の別所国連大使でした。「私も君と同じ緒方貞子さんを尊敬する一人です。緒方さんが率いたUNHCR親善大使のMIYAVIさんを国連に招きたいという君の意見を支持します」
その時、いつか私も別所大使のような上司になりたいと思いました。
 
そして今年5月8日、MIYAVIはデトロイト市内のEl Clubで演奏しました。相変わらず3児の父親と思えない若々しさで観客を虜にしていました。私にはロックの魅力は正直わからないが、MIYAVIの音楽には他者(The Others)への共感があると思う。昔国連で、MIYAVIにとって平和とは何かと聞いたとき、即座に「抱擁(Acceptance)」と答えました。難民も僕らと同じ、故郷を追われたという事実以外なにも変わらないよと笑顔で答えていました。そしてEl ClubでもMIYAVIは、全ての観客をあるがままに受け入れていました。
 
北米ツアーでシカゴからワシントンDCに行く途中でもあり、今回の再会は短いものでしたが、一緒に行った川瀬JBSD事務局長が2027年の新年会にMIYAVIを招待しました。即座に「いいですよ」と笑って答えたMIYAVIを真剣にデトロイトに招こうと考えています。2027年はデトロイト美術館100周年と日本ギャラリー10周年を祝うジャパンイヤーをポンス館長や大光さん達と計画しています。かつては犯罪や貧困、経済停滞に苦しんだデトロイトが美しく復活している様子は、米中西部以外で知られていません。今のデトロイトは日本車も日本人も日本文化もあるがままに受け入れている。MIYAVIが難民を普通の人として受け入れているように。
デトロイトの復活を日本の視点で伝えるには、MIYAVIの「抱擁」で表現するのが最高と考えてます。共感する方は総領事館までご連絡ください。一緒に準備しましょう。

 
 
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