デトロイト総領事の眼差し
令和7年4月15日
デトロイト総領事の眼差し Vol.4
水辺の復権:「偉大な川」オハイオ州の”明るいミライ“
水辺の復権:「偉大な川」オハイオ州の”明るいミライ“
令和7年 (2025年) 4月15日
在デトロイト日本国総領事
米西海岸サンフランシスコから米中西部デトロイトに赴任してちょうど4か月になる。その間に管轄するオハイオ州には11回出張した。行くときはいつも車だ。総領事運転手はニキーダという黒人女性、元デトロイト市バスを運転していた。その割に飛ばす。この間は高速で飛ばしすぎてオハイオ州警察に捕まったが、普段は快適だ。州都コロンバスまで片道3時間半で行く。在デトロイト日本国総領事
岸守 一
オハイオという名前は、イロコイ族の言葉で「偉大な川」という意味らしい。州民は州内に自生するトチノキに因んで「バッカイ(Buck Eye)」と呼ばれている。
ミシガンからオハイオに入ると、道路が良くなる。空が広い。それだけ土地がフラットだ。オハイオ州民はミシガンと呼ばず、「あの北の州」と呼ぶ。ミシガン大学とオハイオ州立大学はアメフトの競争相手でもある。自動車もミシガンはトヨタと日産、オハイオはホンダ。
日本はミシガン州では第2位だが、オハイオ州では最大の外国投資国だ(ホンダのお陰だ)。
ではなぜ、オハイオ州への投資が盛んなのか。ドゥワイン知事の答えはこうだ。
「オハイオには豊富な淡水がある。次に廉価な電気がある。そして上質な労働力もある。」
ホンダの累積投資も大きいが、最近はインテルの半導体投資が5年間で280億ドル。現在30基のクレーンと1,000人の労働者が地ならしを行っていた。
「ジミー、後10年でオハイオはカリフォルニアを抜いて米国で最も豊かな州になるよ」
シンシナティ生まれのインドからの移民であるラマスワミ次期州知事候補は満面の笑顔でそう言った。五大湖とオハイオ川の淡水が彼の自信の源だ
オハイオ州では地方都市を訪問し、市長たちと意見交換を重ねている。クリーブランド、トロイ、ブルンスウィック、フィンドレー、ボウリング・グリーン、ダブリン。名誉領事はクリーブランドの藤田浩之氏とコロンバスのデイブ・クック氏がいて、総領事館を代表してくれている。この秋、デイトン交響楽団ではマエストロ原田慶太楼が指揮を執る予定である。各大学で日本語教育も盛んで、南東部のオハイオ大学では中部大学1年生26名が短期留学をしていた。着任する前のオハイオ州のイメージは大豆とトウモロコシだけだったが、現実は良い意味で違った。
米国における水辺の復権。豊富な淡水を背景にオハイオ州の未来は明るいのだろうか。
これからもニキーダと共に出張して、オハイオ州のことをもっと知りたいと考えている。







