デトロイト総領事の眼差し
令和7年12月4日
デトロイト総領事の眼差し Vol.10
会議は踊る、それで良いのだ:初めての日米中西部会への出席
会議は踊る、それで良いのだ:初めての日米中西部会への出席
令和7年 (2025年) 12月4日
在デトロイト日本国総領事
「会議は踊る、されど進まず」在デトロイト日本国総領事
岸守 一
1814年、ナポレオン失脚後にウィーンのメッテルニヒ宰相が開いた長引くウィーン会議を皮肉った言葉だ。
2025年9月7-9日、私は用務帰国し、デトロイト総領事として溝渕シカゴ総領事と共に東京で開催された第55回日米中西部会に出席した。ミシガン州からホイットマー州知事を含む29名、オハイオ州から市長達を中心に59名の代表団が派遣された。
ホイットマー知事は部会の一週間前から訪日し、茨城、名古屋、滋賀、大阪などを積極的に訪問し、日本企業視察や大阪関西万博を訪れていたが、私は予算の関係で同行できなかった。知事にはこれまで3代の総領事は地方に同行してくれたと皮肉を言われながら、それでも帝国ホテルでホイットマー知事と1時間の意見交換を行うことができたのは、良かった。
ただ州予算の混乱で知事は日本滞在を短縮し、開会式の前に次の目的地に旅立っていった。
蓋を開けてみれば、中西部11州のうち来日したのはネブラスカ知事とカンザス副知事だけだった。そのため全体会議は盛り上がりを欠いていた。ウィーン会議を思い出していた。
しかし、日米中西部会に意味がないわけではない。
アレクサンドル皇帝がウィーン会議を抜け出して仕立屋の娘クリステルとよろしくやっていたように、中西部会の参加者たちも議場外で思い思いの活動を行っていた。私もそうだ。
滋賀県(ミシガン州と姉妹州県)三日月知事とホイットマー州知事の会談に同席。
埼玉県(オハイオ州と姉妹州県)大野知事とフィンドレー市長、メアリズビル市長(HONDAの本拠地)の会談に同席し、『翔んで埼玉』のポーズで記念写真。
クック名誉領事の紹介でオハイオ州マジソン郡代表団と有楽町の蕎麦屋で会食。
ミシガン州経済開発公社幹部との日比谷松本楼でのランチ。
オハイオ州代表団59名全員による銀座の居酒屋夕食会に同席。
One Columbus主催によるHONDA幹部とのランチに同席。
ミシガン・オハイオ代表団30名を森ビルのアーバンラボに引率、など。
55年の歴史を誇る日米中西部会にも改善点はあると思う。井口日本側事務局長とその点について話し合いをさせていただいた。それでも米国中西部から200名近い代表団が訪日し日本側関係者と交流を深める機会が貴重であることに間違いはない。
会議は踊る、それで良いのだ。いや、会議は踊る、それが良いのかもしれない。そう思った初めての日米中西部会だった。